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解説: 画素の流れ — 「4Kカメラ」でも見えないことがある理由

遠隔巡視で「見えるかどうか」を決めるのは、カメラのカタログ解像度そのものではなく、確認したい対象に最終的に割り当たる情報画素の数です。 このページでは、画素がセンサーからモニターまでどう流れ、どこで減るのかを順に説明します。

1. 全体像 — 画素は増えない

対象の画素は「① センサーに映る → ② 配信(Stream)で送られる → ③ モニターに表示される」 という一方通行の流れをたどります。それぞれの段階で画素は減ることはあっても増えることはありません。 最終的な判別は、この鎖の一番細いところ(ボトルネック)で決まります。

現場の対象実寸で存在① センサー4K (3840×2160)対象 240px② 配信 StreamFHD (1920×1080)対象 120px③ モニター表示拡大表示 240px相当情報 120px のまま④ 人が判別見える情報で判断画素は途中で「減る」ことはあっても「増える」ことはない — 判別は一番少ない段階(ボトルネック)で決まる数値例: 4Kセンサーで240pxに映った対象は、FHD配信で120pxになる。画面上で2倍に拡大しても情報は120pxのまま

図1: 画素の流れ。②の縮小がボトルネックになる典型例

2. ステップ1: レンズとセンサーが「映る範囲」を決める

センサーの幅(Sw)と焦点距離(f)で、カメラの水平画角が決まります。 広角レンズは広く映せますが、その分 1m あたりに割り当たる画素は減ります。

水平画角 HFOV = 2 × atan( Sw ÷ 2f )
センサー幅 Sw = 6.4mm焦点距離 f = 4mmレンズ水平画角 HFOV ≒ 77.3°センサーが広い・焦点距離が短い → 画角が広い(広く映るが 1m あたりの画素は減る)。逆なら望遠で密度が上がる

図2: 標準例(Sw 6.4mm・f 4mm)の幾何。この組み合わせで画角は約 77.3°

3. ステップ2: 距離が「実物への画素割り当て」を決める

センサーの画素は、映っている範囲全体に配られます。 対象が遠いほど 1 画素が受け持つ実寸が大きくなり、実物 1m に割り当たる画素(画素密度 px/m)は 距離に反比例して減ります。

画素密度 [px/m] = fx ÷ 距離 (fx = 解像度幅 × f ÷ Sw)
カメラ5m 先の 1m240px 割り当て20m 先の 1m60px 割り当て同じ 1m でも、遠いほど割り当てられる画素(縞の数)が減る数値例: FHD 配信 + 標準レンズ(fx = 1200px)の場合。距離が 4 倍になると画素密度は 1/4 になる

図3: 同じ 1m の対象でも、5m 先では 240px、20m 先では 60px しか割り当たらない(FHD 配信の例)

4. ステップ3: 配信・処理が画素をさらに減らす

現場のカメラ映像は、通信量を抑えるためにカメラ内で縮小・圧縮されてから配信されます。 4K センサーでも配信が FHD なら、対象の画素は配信の時点で半分になります。 本アプリの評価がカタログ解像度ではなく「実運用の配信解像度」を使うのはこのためです。

センサー上(4K)対象 240px 相当配信で縮小Stream 上(FHD)情報 120px2倍ズーム表示モニター上の見た目大きいが粗い(情報は 120px のまま)デジタルズーム・拡大表示は「引き伸ばし」であり、新しい情報画素を作らない(本アプリの評価にも使わない)

図4: 配信縮小後の情報画素は、モニターで拡大しても戻らない(デジタルズームは引き伸ばし)

まぎらわしい2つの「画素数」: モニター上の見た目の大きさ(表示画素)は いくらでも拡大できますが、判別に使えるのは配信に残った情報画素だけです。 本アプリの判定はすべて情報画素で行います。

5. ステップ4: モニターで人が判別する

最後に、残った情報画素を見て人が判断します。何を確認したいかによって、必要な画素数は変わります。

ごく少ない何かが居る(存在確認)中程度人らしい・姿勢が分かる多い装備・細部の確認に近づく

図5: 同じ人でも、割り当たる情報画素が少ないと「居ること」しか分からない

確認レベル内容必要な短辺画素(目安・仮設定値)
L1存在確認(何かが居る)20px
L2状態確認(動いている・倒れている)40px
L3作業確認(何をしているか)80px
L4詳細確認(装備・手元)160px
L5文字・計器確認240px

必要画素数は照度・圧縮・対象の色などに左右されるため、この目安は実機検証前の仮設定値(ASSUMED)です。 導入判断の前に、実際のカメラ・回線での確認(実機 PoC)を前提にしてください。

6. 体験: 距離と配信解像度で画素密度がどう変わるか

カメラは本アプリの汎用カメラ既定値(センサー 6.4×3.6mm・4K・焦点距離 4mm)。 対象は幅 0.5m(人の肩幅相当)です。計算はアプリの評価と同じ計算エンジンで行っています。

実物 1m に割り当たる情報画素(Stream 基準)
120 px/m○ 要求 100px/m を満たす
0.5m の対象に割り当たる画素
60 px(センサー上は 120px)
要求画素密度 100px/m(仮設定値)を満たす限界距離
12.0 m

7. 本アプリの評価はどこを見ているか

計算式の詳細と前提は、リポジトリ内の計算仕様書(methodology specification)に記録されています。 このページの数値例・体験コーナーは、アプリの評価と同じ計算エンジンから算出しています。